厄介な「遺産共有」状態
遺言を書かずに相続が発生した場合、遺産は法律で定められた割合(法定相続分)に従って相続人全員で「共有」する形で相続されます。これを「遺産共有」といいますが、これが厄介。
たとえば、相続人は3人。相続分は3分の1づつで均等の割合。遺産の株式は300株。
普通に考えれば「ひとり100株!」と行きたいところ。
ですが、法定相続分に基づく遺産共有になると「株式1つを3人で3分の1づつ共同で所有する」ことになります。よって権利の行使は3人共同で行う必要があるというわけです。仲が良ければいいですが、意見が一致しないと何をするにも厄介です。この遺産共有は株式に限らず、不動産でも同様です。
遺産共有を解消するには「遺産分割協議」が必要
遺産共有状態を解消し、誰かの持ち物にする場合は「遺産分割協議」という話し合いを経なければなりません。
遺産分割協議は「相続人の全員」の「全会一致」で決する必要があります。そのため共同相続人の中に音信不通の行方不明の人がいる場合は、この話し合いが成立しません。行方不明だからと言って、その人の存在を無視するわけにはいきません(無視をしても手続き時に提出する戸籍などで発覚します)。
このような場合はどうするべきなのでしょうか?
不在者財産管理人
行方不明者は話し合いができないので、その人の代わりとして家庭裁判所の選任する「不在者財産管理人」を加えて遺産分割協議をする事ができます。この点、不在者が不利にならないように、不在者財産管理人には法律のプロである弁護士や司法書士が就くことが多く、一定の取り分を確保した上で協議が取りまとめられることが一般的です。
相続人の中に行方不明者がいるからと言って手続き自体ができないわけではありません。
家庭裁判所への提出書類の作成は司法書士までご相談ください。